スプリンターズステークスでは外国調教馬に優先出走権が与えられていますが、ジャパンカップなどの国際招待競走とは違い、スプリンターズステークスへの出走に関する費用などは出走馬陣営側の事故負担金となるため、賞金の見込めない競走馬は優先出走権を持っているとはいえ、気軽に出走はできません。
遠征にかかる費用は移動距離、滞在時間、同行スタッフの人数などにより変動しますが、数千万円程度は簡単にかかるようです。特に、競馬が盛んな欧米と日本では距離が離れているため、気軽に挑戦する競走馬は少ないといえます。反面、香港ほどの距離であれば移動にかかるストレスなども、たとえば北海道から小倉へ行くのと、香港へ行くのでは、空輸の必要の有無はあれど、欧米と比べればハードルはぐっと下がります。
優先出走権は与えますので、出走しませんか?と言われても、賞金で取り戻す自信がない限りは道楽でもない限り出走しづらい、つまり、出走してくる海外調教馬は賞金を取る自信があるうえで出走を決定している、と見て取れます。
実際に、事前登録はしてあっても不調に陥るなどすればキャンセルをすることも多くありえます。今年も海外からの登録馬は事前登録の段階で5頭いましたが、最終的に残ったのはリッチタペストリー1頭だけとなりました。
過去の外国調教馬の成績を見てみると、過去10年間でスプリンターズステークスに外国調教馬が出走したレースは6開催。出走頭数は延べ15頭で、1着が3頭、2,3着はおらず、4着2頭、5着3頭、6着以下が7頭いました。馬券で言えば1着3頭以外は絡んでおらず、馬券率にすると6.7%といったところ。勝てないまでもしっかりと賞金のもらえる5着以内まで食い込む確率は53.3%と過半数を超えているのがご立派です。
優勝した3頭は香港サイレントウィットネス、豪州テイクオーバーターゲット、香港ウルトラファンタジーです。海外からの出走馬自体もやはり香港が多いのですが、ついで多いのがオーストラリアからです。アメリカはダート馬がメインのため少なく、欧州は距離的にやはり難しい面もあるでしょう。
2015年の出走予定馬に組み込まれるリッチタペストリーはどの位置に食い込むことになるのかが気になるところですが、今までのデータを重視するならば1着か馬券外かのどちらかになるため、非常に扱いが難しいのですが、現在のリッチタペストリーのレーティングは122と、日本勢レーティング上位ストレイトガール(112)、ハクサンムーン(116)、ミッキーアイル(116)に対して大きく水をあける形となっています。
1着か、ハズレか、の精神でいくならばまったく馬券に組み込まず無視するか、レーティングを信じて軸にしてみるのもいっそ面白いのではないでしょうか。